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ECサイト構築の流れとは?
各ステップを具体的に解説

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ECサイト構築は、複数の構築方法・ステップを考慮するため、最適解がわかりにくい作業です。特に初めてのECサイト構築では、考慮すべき事柄の多さに戸惑う担当者も少なくありません。そこで、まずは基本的なECサイト構築の流れを把握しておきましょう。

1. ECサイト構築までのステップ

ECサイト構築には主に以下4つのステップが存在します。ちなみにECサイト構築は、100%自社で行う方法と外注業者を利用する方法がありますが、ここでは「社内にエンジニアリングリソースを持たない事業者が外注業者を使う場合」を想定しています。

ECサイト構築までのステップイメージ

ECサイトの企画、戦略立案

ECサイトの構築では、まず基本戦略を決定します。具体的には以下のような項目を検討します。

●ターゲティング
想定する顧客層を明確にする作業です。顧客属性をできるだけ具体的に定義することで、購入率を向上させる効果があります。

●ペルソナ作成
顧客層のより具体的な姿を決定していきます。例えば、「40代男性、埼玉県北部在住、家族は妻と子供二人、東京都内のSIerに勤務し年収は800万円程度。3カ月に一度ほど、キャンプやバーベキューにでかけるのが趣味であり、日ごろからアウトドア用品の情報収集を行っている」といった具合です。このペルソナをもとにすれば、「ECサイトのカラー」「扱う品目」「価格帯」などが具体性を帯びてくるでしょう。

●ポジショニング
「ターゲットに対して何を提供するか」「どのようにして競合他社よりも自社を選んでもらうか」「自社独自の強み」などを決定します。ここでは「製品が持つ機能的な優位性」よりも「その製品を使うことで顧客にどのようなメリットが発生するか」を明確にしていきます。

ECサイト戦略

●製品戦略
ECサイトで扱う製品の品質やデザイン・ブランド・サービス・保証内容などを決定します。ポジショニングの内容を具体化していく工程です。

●価格戦略
取り扱う製品の価格を決定します。価格決定は、前述のペルソナ設定から「顧客が購入可能な価格帯」「価値を感じやすい価格帯」を算出していく工程です。単に安いだけではなく、ペルソナの収入や可処分所得に応じて適切な値付けを行うことが大切です。

RFP作成

RFP

ECサイトの基本戦略が固まったあとは、外注先の候補となるベンダーに対して提案依頼書(RFP)を発行します。RFPでは「ECサイトを構築する目的や課題」「工程表(WBS)」「想定する費用」「構築手段(ASP、クラウド、オープンソース、パッケージ、フルスクラッチなど)」「必要な機能」などを明らかにしておきましょう。ちなみに構築手段ごとの特徴やメリットは下記のとおりです。

●ASP
ECサイト向けASPでは、カート機能や決済関連、配送などECサイト運営に必要な機能が含まれています。そのため、初期構築にかかる手間は非常に小さく、小規模であればすぐにでもECサイト運営が開始できる点がメリットです。ただし、カスタマイズ性は決して高くないため、自社独自の要件には対応しにくいでしょう。また、既存の業務システムとの連携にも課題が発生しがちです。

●クラウドサービス
クラウド上でECサイトを構築し・運用する方式です。ASPよりもカスタマイズ性が高いケースが多く、日々の運用にかかる手間が少ない点がメリットです。特にアクセス集中への対策やソフトウェアのバージョンアップ作業などが省略できるため、少数の人員でも安定して運営していくことができます。その反面、毎月のランニングコストが高くなりがちというデメリットもあります。

●オープンソース
インターネット上で無料公開されているオープンソースソフトウェアを組合せ、独自のECサイトを構築・運用していく方式です。カスタマイズ性・機能性・コストパフォーマンスをバランスよく兼ね備えた方式であり、技術力さえあれば最適解のひとつかもしれません。ただし、社内にエンジニアリングリソースを持たない場合は外注費が嵩みやすいでしょう。また、オープンソースはサイバー攻撃の対象になるため、セキュリティホールが無いかを常にチェックする必要があります。

●パッケージ
ECサイト構築パッケージを利用してECサイトを構築する方式です。小規模向け〜大規模向け、さらにBtoB・BtoC・CtoC、越境などさまざまなパッケージがあります。自社の規模感と用途にあったパッケージを選定する必要があります。

●フルスクラッチ
カスタマイズ性や機能性という面では最も優れています。ただし、巨額のイニシャルコストが必要になることに注意が必要です。

ベンダー選定

ベンダー選定

RFPの作成が完了した後は、外注先の候補となるベンダーへ打診を行います。まず、各ベンダーに対してRFPを送付し、提案が可能かの回答を待ちましょう。次に、提案可能と回答があったベンダーの中から具体的な見積り内容を取り寄せ、比較・検討していきます。このとき、複数の候補者を集めてRFP説明会を開催し、その流れでコンペティションにつなげても良いでしょう。

コンペティションを開催すべきかどうかはケースバイケースです。ただし、ECサイトに求める要件が複雑で開発規模が大きい場合や、候補とるベンダーの数が多い場合は、コストパフォーマンスに優れた提案を見分けやすくなります。

また、コンペティションを開催する場合は、情報漏洩を防ぐためにNDAの締結も忘れないようにしましょう。

構築

外注先が決定した後は、実際の構築フェーズに入ります。ECサイトの構築フェーズとしては「要件定義」「設計」「決済方法の決定」「配送の決定」などが挙げられます。

●要件定義
要件定義ではECサイト内で想定される業務フローを明確にし、それに沿ったECサイトの全体像を確定していきます。ここで決定すべき項目としては「ECサイトのコンセプト」「大まかな仕様や必要とされる機能や性能」「構築スケジュール」などが挙げられるでしょう。

●設計
要件定義の内容をもとに、具体的な機能を設計するフェーズです。具体的には、「トップページの画面仕様およびデザイン」「受注・決済関連の処理」「全体的なUI」「受注管理システム」「配送システム」などが対象となります。

●開発
設計結果をもとに実際にECサイト(フロントおよびバックエンド)を開発していきます。パッケージの機能設定だけで対応できない機能はカスタマイズ開発します。

●決済方法の決定
ASP以外の構築方法では、決済方法を独自に決定し、実装していかなくてはなりません。ECサイトでは、「クレジット決済」や「コンビニ決済」、「代金引換」「銀行振込」「携帯キャリア決済」「電子マネー決済」などが挙げられます。多様な決済方法に対応することで購入率の向上が期待できる反面、決済システムの導入費用や手数料などが嵩むことも想定しておきましょう。したがって、まずは利用率の高い「クレジット決済」「コンビニ決済」のみに対応し、利用状況を見ながら徐々に他の決済方法も導入するなど、一定の工夫が必要です。

配送設定

●配送
「配送地域ごとの料金」「配送日程」などを決定していきます。日本の場合、離島に対する配送料を考慮する必要があるため、配送会社との協議したうえで料金や日程を決定していきましょう。

運用保守体制の構築

運用保守体制の構築

フルスクラッチやオープンソースでECサイトを構築する場合には、ECサイト関連システムに対する運用保守作業が必要になります。ECサイトの運用保守では「デザイン」「機能」「インフラ(システム)」「セキュリティ」の4点で作業が必要になるため、それぞれに担当者を配置する方法がおすすめです。具体的な作業内容としては「各種サーバーの維持管理」「ソフトウェアアップデート」「商品画像の更新」「商品の追加と削除」などが挙げられます。もし運用保守体制を構築するだけのリソースが無い場合は、アウトソースも検討していきましょう。

2. まとめ

本稿では、ECサイト構築の流れを解説してきました。ECサイト構築は自社・ベンダー・決済事業者・配送事業者など複数のステークホルダーが関与するため、利害関係の調整や全体最適に労力を要します。限られた予算内でスムーズなECサイト構築を目指す場合は、ECサイト構築に強みを持つベンダーにすべて任せてしまう方法が得策かもしれません。

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