ECサイトの構築方法と
その特徴、メリット、
デメリット
ECサイトには複数の構築方法があり、それぞれメリットやデメリットが異なります。近年はSaaSとしてECサイトを提供するケースが増えているものの、必ずしもそれが最適解とは限りません。どの構築方法が最適かはECサイトの目的・規模・性質によって異なるからです。そこでまずは、構築方法ごとの特徴をおさえておきましょう。
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1. ECサイト構築方法の比較
ECサイトの構築方法は、主に「フルスクラッチ型」「ASP型(SaaS型)」「パッケージ型」「オープンソース型」の4つに分類できます
フルスクラッチ型
フルスクラッチ型は、ゼロベースでECサイトを構築する方法です。完全なる独自開発でECサイトを作り上げていきます。
●フルスクラッチ型の特徴
フルスクラッチ型は、すべての機能を自社独自の細かな要件に合わせられるという特徴を持っています。また、ECサイト以外の既存システム(基幹システムや受発注システムなど)が古く、独自性が強い場合などでも、既存システムに合わせた開発が可能です。
●フルスクラッチ型のメリット
フルスクラッチ型は、既存の業務に合わせた開発が行われるため、業務プロセスを変える必要がありません。また、UI/UX設計に現場担当者の意見を反映しやすいため、現場からの抵抗を回避することができます。さらに、レガシーシステムにも組み込みやすく、既存システムの改修コストをおさえることが可能です。
●フルスクラッチ型のデメリット
フルスクラッチ型の最も大きなデメリットは「コストをおさえにくい」という点です。独自開発になるため、設計・開発・テストといった実装フェーズの工数が大きくなりがちです。また、構築後の運用においては、専属のチームが必要になるでしょう。
ASP型(SaaS型)
ASP型は、Webアプリケーションを利用することでECサイトを構築する方法です。また、ECサイトをクラウドサービスとして提供するSaaS型も、広義のASP型に含めることができます。
●ASP型(SaaS型)の特徴
ASP型(SaaS型)は、サブスクプション契約(月額課金など)で手軽に利用でき、ECサイトに求められる基礎的な機能を内包しています。そのため、どちらかといえば小規模なECサイトに適しているでしょう。
●ASP型(SaaS型)のメリット
ASP型(SaaS型)はイニシャルコストが非常に小さいことが最大のメリットです。サービス利用がECサイト構築につながるため、ハードウェア調達やシステム開発は必要ありません。また、運用保守作業の大半はサービスを提供する事業者(プロバイダー)が行うため、社内に運用保守体制を構築する必要が無く、ソフトウェアアップデートにかかる費用なども最小限におさえることができます。
●ASP型(SaaS型)のデメリット
一般的にASP型(SaaS型)は追加改修や仕様変更ができないため、既存のレガシーシステムに対応しづらいという弱点があります。どうしてもシステム連携が必要な場合は、レガシーシステム側を改修する必要があるでしょう。そのため、トータルコストはさほど小さくならないケースもあります。また、機能的な制限が多いため、ECサイトの規模が大きくなるごとに使いにくさが露見する可能性も否定できません。
パッケージ型
パッケージ型は、複数のソフトウェアを内包したパッケージを用いてECサイトを構築する方法です。
●パッケージ型の特徴
パッケージ型は、ECサイトでよく使われる汎用的な機能を一通りそろえつつ、ある程度の造り込みにも対応できるという特徴を持っています。中規模~大規模なECサイトに適していると言えるでしょう。
●パッケージ型のメリット
パッケージ型は初めからシステム間連携に対応しているものがおおく、大規模ECサイトを構築しやすいというメリットがあります。また、基本機能の品質が担保されているため、追加機能の開発に注力しやすい点も強みです。近年はフルスクラッチ開発と同じレベルでカスタマイズを施せるパッケージも珍しくなく、コスト・機能・カスタマイズ性のバランスに優れた構築方法と言えます。さらに、予算に合わせて開発を調整しやすい点も強みです。売上実績が乏しい導入期は標準機能のみを使い、ある程度売り上げが増えてきた段階で予算に応じた追加開発を行う、といった運用が可能になります。
●パッケージ型のデメリット
パッケージ型は追加開発のボリューム次第でコストが大きく変化します。そのため、場合によってはフルスクラッチ型を上回る予算が必要になることもあるでしょう。また、標準機能と追加開発部分の境界線で不具合が起こりやすく、保守運用コストが高騰する可能性もあります。ただし、こうしたデメリットは導入・開発を担当するベンダーの質に依存するものです。したがって、ベンダー選定さえ適切であれば問題は生じません。
オープンソース型
オープンソース型は、無償のオープンソースソフトウェア(OSS)を活用し、ECサイトを構築する方法です。
●オープンソース型の特徴
オープンソースのソフトウェア(OSS)を中心とするため、技術力さえあれば自由度の高い開発を行うことができます。
●オープンソース型のメリット
オープンソース型のメリットは「ランニングコストが小さくカスタマイズ性に優れる」という点です。無償公開されているソースコードを読み解く力さえあれば、スクラッチ開発に匹敵する高機能なECサイトを、格安で構築することができます。社内にエンジニアリングリソースを持つ企業であれば、保守運用コストもおさえることが可能です。
●オープンソース型のデメリット
オープンソース型は、ライセンス料やアップデート費用以外のコストがそれほど小さくありません。特にエンジニアリングリソースを持たない企業の場合、外注費が嵩んでトータルコストが跳ね上がる可能性もあります。また、OSSはサイバー攻撃の対象になりやすいことから、常日頃からセキュリティ対策を意識する必要があります。さらに、バージョンアップによる仕様の変化や、有料化などの路線変更が起こると、システム全体を見直さなくてはならない可能性もでてきます。例えば無償のサーバーOSとして知られているCentOSは、2021年以降、有料版に統合される動きがあります。このように、OSSは必ずしも無料でありつづけるわけではないのです。
2. ECサイト構築時のポイント
これまでの内容を踏まえ、ECサイト構築時のポイントを整理していきます。
ポイント1:ベンダーのノウハウと実績
ECサイト構築を完全に内製化する場合を除けば、ベンダーのノウハウと実績は非常に重要です。ベンダー選定の際は、技術力や動員力に加えて、「ECサイト構築の実績があるか」を重視していきましょう。
ポイント2:伴走型か売り切り型か
社内にIT部署を持たない場合やエンジニアリングリソースが無い場合は、「伴走型」のサービスがおすすめです。
ポイント3:オムニチャネル、グローバル化に対応可能か
近年のECサイトは、複数の顧客接点を活用する「オムニチャネル型」や、海外市場に対応できる「越境型」が増えています。この2つに対応できるECサイトであれば、継続的に売上を伸ばしやすくなるでしょう。
ポイント4:フロント、バックオフィス両対応のサービスも
大規模なECサイトは、販売を担うフロントシステム、受発注や配送を担うバックオフィスシステムを連携させることが多いため、両方のシステム開発に強みをもつベンダーがおすすめです。VINXでも、フロント・バックオフィス双方に対応するECサイト構築サービスを提供しています。
3. まとめ
本稿では、ECサイトの構築方法を具体的に解説してきました。ECサイトは規模やビジネスモデルによって最適な構築方法が異なります。利便性の高いECサイトを構築するために、フロント・バックオフィス両面から提案が可能なベンダーへの相談を検討してみてはいかがでしょうか。
VINXでは、ECパッケージ、ECプラットフォームをはじめ、ECサイト構築・運営に関する様々なサービスをご提供しています。もちろんフロント・バックオフィス両面からサポートが可能です。
また、小売業に特化したSIerとして多くの実績と幅広いノウハウ・知見があります。
ECサイト構築、システム開発の際はぜひご相談ください。
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