コーポレートエンジニアとは?
社内SEとの違いも解説
ビジネスにITの利用が欠かせない昨今、企業内のIT(コーポレートIT)を一手に担う職種として「コーポレートエンジニア」が注目されています。しかし、コーポレートエンジニアの採用・育成は容易ではないようです。そこで、コーポレートエンジニアの確保に向け、その概要や既存職種(社内SEなど)との違いなどを解説します。
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1. コーポレートエンジニアとは?需要増の背景
まず、コーポレートエンジニアの概要と大まかな仕事内容、社内SEとの違いを紹介します。
コーポレートエンジニアとは
コーポレートエンジニアは、その名のとおり「コーポレートIT」を担う職種の総称です。では、コーポレートITとは何を指すのでしょうか。コーポレートITとは、企業が利用する社内のITシステム全般を指します。その目的は社内業務の生産性向上、企業全体のIT化、事業とのシナジー創出など多岐にわたります。この点に関しては従来の情報システムとあまり変わりません。
ただし、コーポレートITは「クラウドファースト」を前提としていることが多いようです。具体的にはクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の活用が大前提であり、API連携を多用した環境です。また、内製志向が高めであることも従来型の情報システムとの違いと言えるでしょう。
こうしたコーポレートITの実現を担うのがコーポレートエンジニアです。コーポレートエンジニアの仕事内容として次のようなものが挙げられます。
・クラウドサービスを用いた社内ITシステム設計、構築、管理、運用
・業務プロセス改善のためのツール企画、開発
・IT資産管理
・ヘルプデスク業務
・キッティング業務
・IT監査対応(ISMS、Pマークなど)
・ベンダーマネジメント
・上記業務にかかる予算設計
また、企業によってはIT戦略立案が含まれることもあるでしょう。
急増するコーポレートエンジニアへの需要
近年、DXの達成を目指してレガシーシステムからクラウドサービスへ移行する企業が増え続けています。さらに、複数のクラウドサービスを連携させて巨大な業務システムを構築する例も増えてきました。そのため、IT(主にクラウド)と企業全体をつなぐハブとしての人材(=コーポレートエンジニア)が求められるようになっています。
2. 従来型の社内SE・情シス担当者とコーポレートエンジニアの違い
次に、従来型の社内SEや情シス担当者との違いを整理しておきましょう。
責任範囲が異なる
結論から述べると、コーポレートエンジニアは「従来型の社内SE・情シス担当者と仕事内容は似ているが、責任範囲が異なる」と言えます。
コーポレートエンジニアは企業全体のIT化と全体最適を担う職種です。ITシステムに関するさまざまな業務を担いつつも、最終的には業務とIT結びつけ、生産性を高めて企業の成長に貢献することが求められます。これまでの情報システム部門や社内SEに比べると、貢献度が高く責任範囲も広い職種と言えるでしょう。
コーポレートエンジニアのスキルセットはクラウド中心
また、スキルセットの面でも違いがあります。コーポレートエンジニアには、オンプレミスよりもクラウドサービス関連のスキルが求められるからです。特にIaaS・PaaS・SaaSの選定と導入、複数のサービスを用いた社内システムの構築・運用経験は、多くの企業が採用条件に含めています。反対に、オンプレミスでの基幹システム開発・運用やヘルプデスク、ネットワーク構築経験などが占める割合は小さいようです。
コーポレートITは業務との結びつきを重視することから、内製化の割合が高くなる傾向にあります。そのため、コーポレートエンジニアには内製化に対応できるだけの技術力が必要です。この点も企画、調整をメインとする従来型職種との違いと言えます。
3. コーポレートエンジニアが採用できない理由
旺盛な需要がある一方で、コーポレートエンジニアの採用に苦戦する企業も少なくありません。その背景には次のような理由があります。
求人と人材のズレ
前述のようにコーポレートエンジニアには、従来型の情シス担当者や社内SEとは異なるスキルセットが求められます。一方、コーポレートエンジニアに応募する人材はバックボーンとして従来型の情シスや社内SEの経験を持つことが多く、求人と人材の間にズレがあるようです。
また、企業によってコーポレートエンジニア自体の定義が異なることも原因のひとつでしょう。例えば、企業Aは「コーポレートエンジニア=内製開発要員」と定義し、企業Bは「コーポレートエンジニア=パッケージ導入・運用担当の情シス部員」と定義していることがあります。つまり、転職市場の中でコーポレートエンジニアの定義が統一されていないのです。このことが、人材側の迷いや不安を加速させ、採用に結びつかないことの遠因になっていると考えられます。
希少性とギャップ
コーポレートエンジニアは責任範囲や期待される役割の広さから、経験者採用が主流です。しかし、クラウド関連のスキル・経験を持ち、さらに会計や人事、生産など複数の業務領域に通じた人材はそれほど多くありません。
一般的にエンジニア職は、スペシャリストに分類されます。一方、コーポレートエンジニアに求められるスキルセットはゼネラリストに近いものです。こうしたギャップが、コーポレートエンジニアの採用を妨げる要因になっていると言えるでしょう。
4. アウトソースでコーポレートITを支える
コーポレートエンジニアは中途採用が主流となることから、定期的に人材を補充できるとは限りません。
もちろん「新卒・未経験者を社内で育成する」という選択肢もあります。しかし、コーポレートエンジニアを任せられるだけの人材に育て上げるには、少なく見積もっても3年~5年の時間が必要です。その間にも刻一刻と状況は変化していきます。
したがって、コーポレートエンジニアをアウトソースするという考え方も検討すべきでしょう。
VINXは、小売企業の情報子会社としてスタートしました。そのDNAとノウハウをもとに従来型の情報システム部門を支援するコンサルティングサービスを提供しています。同サービスではIT化計画などのコア業務から運用保守などの定常業務までが含まれます。また、クラウド関連の各種サービスを、コーポレートITの観点からトータルにコーディネートすることも可能です。
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5. まとめ
ここでは、コーポレートエンジニアの概要や採用難の理由について解説してきました。コーポレートエンジニアは情シス担当者と社内SEの仕事に加え、内製開発や全体最適の達成が求められるなど、役割が広い職種です。適任者を採用するまでにはコストと時間が必要になるでしょう。また、コーポレートエンジニアを確保できないことで社内業務の生産性が落ちてしまうリスクもあります。こうしたリスクを未然に防ぐためにも、情シスコンサルティングからシステム運用、コーポレートITの推進まで対応可能なサービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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