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リスク回避のためのベンダーマネジメント
~マルチベンダーへの対応策とは

リスク回避のためのベンダーマネジメント

ベンダーマネジメントとは、外部のベンダーに対する発注・役割分担・管理・評価などを行うことです。事業会社がITシステムを構築するためには、外部のベンダーを活用する方法が一般的です。もし、ベンダーマネジメントに失敗してしまうと、質の低いシステムが完成してしまい、業務遅滞やサービス品質低下を招きかねません。ここでは、ベンダーマネジメントの基礎知識やマルチベンダーマネジメントのリスクを回避するためのポイントを解説します。

1. ベンダーマネジメントとは?成功のポイント

ベンダーマネジメントとは?成功のポイント

まず、ベンダーマネジメントの概要について解説します。

ベンダーマネジメントとは

ベンダーマネジメントとは、外注業者(ベンダー)への発注や指示、進捗管理、納品物の評価やチェックなど「ベンダーにスムーズに動いてもらい、質の高いシステムを作るための仕事」を指す言葉です。また、上記に加えて「受け入れテストやユーザートレーニングの工程作成」「レビュー工程作成」などが含まれることもあります。一般的には社内の情報システム部門における職務のひとつであり、社内SEが担当することケースが多いでしょう。

ベンダーマネジメントを成功させるポイント

ベンダーマネジメントがスムーズに進むと、仕様のブラックボックス化や重大な欠陥の発生など、トラブルの原因を防ぐことができます。ベンダーマネジメントを成功させるためには、以下2つのポイントを押さえた人材配置がおすすめです。

技術力を持つ人材を配置する

・技術力を持つ人材を配置する
ITプロジェクトにおいて開発・テスト工程の大半をベンダーが担当する場合は、技術力を持った人材を配置するようにしましょう。一定以上の技術力があれば、ベンダーへの発注や指示の精度が上がるからです。また、ベンダーからの納品物のチェックにおいても、技術力があれば設計や実装のミスを見抜くことができます。特に要求伝達のミスに起因する設計・実装の不具合は発注側の責任になり、修正費用も大きくなりがちです。要求伝達のミスを防ぐには、ベンダー側と技術的なレベルで設計・実装の合意を重ねることが大切です。たとえ十分な瑕疵担保期間が設けてある場合でも、早期にミスを見抜くことで改修の手間を省き、ビジネスへの影響を最小限に食い止めることができます。

・マネジメント経験のある人材を配置する
ベンダーマネジメントは複数のベンダーとの折衝や進捗管理、ヒアリング、調整などが発生します。ときには、開発チームのリーダーとなってベンダーの社員をマネジメントしていくこともあるでしょう。したがって、上流工程でのマネジメント経験持つ人材が適任です。

2. マルチベンダーマネジメントに潜むリスク

近年は、複数のベンダーを同時に活用する「マルチベンダー体制」が一般的になってきました。しかし、マルチベンダー体制は単一のベンダーを管理するよりも難しく、いくつかのリスクが潜んでいます。そこで、マルチベンダーマネジメントに潜むリスクについても理解しておきましょう。

マルチベンダーマネジメントが求められる理由

マルチベンダーマネジメントが求められる背景には、「ITプロジェクトの複雑化」があります。

デジタライゼーション

ここ数年で、DXを前提としたシステム構築が急速に広まりました。これを受けて、DXの準備段階である「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」を意識したプロジェクトも増えています。デジタイゼーションとはアナログデータのデジタル化、デジタライゼーションとはビジネスプロセスのデジタル化を表す言葉です。

この2つの過程をクリアするために、それまではデジタル化の対象から外されていた業務にも自動化や効率化が求められるようになりました。また、営業やマーケティングなど「攻めの領域」と、人事や経理といった「守りの領域」の連結も進んでいます。

効率化・自動化ではRPAやAIの活用、攻めと守りの連結ではパッケージ導入やBIの活用、データ統合基盤の構築などが求められます。特に先端ITと呼ばれる分野は、発注元企業が経験したことのないプロジェクトが多く、専門的なノウハウを持つ複数のベンダーを活用する必要性が出てきました。

複数のベンダーを活用するためには、ベンダー間の調整が必要になるほか、個々のベンダーと適切なコミュニケーションを重ねていかねばなりません。こうした事情から、マルチベンダーマネジメントは、現代のITプロジェクトにおいて必須の職務とも言えるのです。

マルチベンダーマネジメントのリスク

マルチベンダーマネジメントには、次のようなリスクが潜んでいます。

・プロジェクト進行の遅滞
本来、ベンダーマネジメントには技術力とマネジメント経験が必要であり、要求スキルが高い職務です。また、適切な人材の育成には時間が必要であり、人材は常に不足していると言っても過言ではありません。もしマルチベンダーマネジメントを任せられる人材がいなければ、プロジェクト進行に支障をきたす可能性が高まります。

業務負荷が高い

・業務負荷が高い
マルチベンダーマネジメントでは、納品されたシステムの評価や不具合のチェックのほか、ベンダー間の調整、統制などが発生します。また、何らかのトラブルが発生した場合には、ベンダーの責任範囲に応じて改修や障害対応の指示を出さなくてはなりません。こうした業務の背後には、システムごと、機能ごとの細かいチェックや、契約内容の精査などがあります。いずれも簡単な業務ではなく、どうしても担当者の負荷が大きくなりがちです。

・責任範囲が不明瞭になりがち
ベンダーが増えるにつれて責任範囲が複雑になり、改修や障害対応を担うベンダーの決定が難航するというリスクも考えられます。

3. マルチベンダーマネジメントへの対応策

ベンダーマネジメントとは?成功のポイント

マルチベンダーマネジメントに潜むリスクへの対応策としては、以下2点が挙げられます。

VMOの設置と運用

VMOとは「Vender Management Office」の略称で、ベンダーマネジメント専門のチームや部署を指します。ベンダーマネジメントにチームとして対応するため、特定の人材に負荷がかかる状況を防ぐことができます。また、ベンダーごとの契約管理や進捗管理、成果物の品質チェックなどを並行して行うため、丸投げによる品質の低下やブラックボックス化の防止にも役立ちます。

専門サービスの活用

VMOを設置するだけの人材確保が難しい場合は、外部の専門サービスを活用する方法も検討してみてください。VINXでは、小売業界でのシステム構築経験を有したメンバーが、マルチベンダーマネジメントを支援します。システム構築を通じて技術・マネジメントの双方で経験を積んだメンバーが参画するため、ベンダーとのコミュニケーションや納品物の品質チェックにも活用いただけます。また、要件定義や設計フェーズ全般に対する支援も可能です。

4. まとめ

ここでは、ベンダーマネジメントの重要性とマルチベンダーマネジメントに潜むリスク、その対応策について解説しました。マルチベンダー体制によるプロジェクトは、今後ますます一般的になっていくと考えられます。その反面「VMOを常設するのはコスト的に難しい」という課題も発生するでしょう。ITプロジェクトは常時発生するものではないため、VMOはコスト面から最適解とは言い難いのが実情です。もし、マルチベンダーマネジメントに不安を感じているようであれば、必要に応じて外部の専門サービスを検討してみてはいかがでしょうか。

VINXにおまかせください

VINXでは、マルチベンダーマネジメント支援はもちろん、小売業向け情報システム部門コンサルティングサービスとして、IT化計画などのコア業務からシステムの構築、運用保守などの定常業務までワンストップでご支援します。
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