トレンド情報イメージ

トレンド情報

複数チャネルでシナジーを
狙う
「オムニチャネル」の
概要・メリット・O2Oとの
違い

オムニチャネルイメージ

ここ10年ほどで業界業種を問わず「オムニチャネル戦略」が広まりました。オムニチャネルは、複数の顧客接点(チャネル)を用いて顧客にアプローチし、顧客体験の向上を狙う施策の総称です。主にファッション業界で使われ始めたオムニチャネルは、分野を超えて活用が進んでいます。ここでは、オムニチャネルの概要やメリット、O2OやOMOとの違い、構築に必要なシステムの具体例などを紹介します。

1. オムニチャネルとは?

まず、オムニチャネルの概要と歴史について解説します。

オムニチャネルの概要

オムニチャネルイメージ

オムニチャネルとは、複数の顧客接点(=チャネル)を連携させ、顧客体験を高めつつチャネル間のシナジーを狙い、ビジネスの成長を促す販売戦略です。ここでいう顧客接点とは、リアル店舗・ECサイト・アプリ・SNSなどを指します。

オムニチャネルでは、さまざまなチャネルから顧客にアプローチを行い、どのチャネルからでも良質なサービスを提供します。また、顧客は「時間や場所にとらわれず、製品・サービスを購入できる」ようになります。こうした施策の積み重ねにより、顧客体験と顧客満足度の向上を狙うのがオムニチャネルの要諦です。

オムニチャネルの歴史

オムニチャネルという言葉は、2009年にIDC(International Data Corporation)が公表した「Retail In-sights Report」の中で初めて使われたと言われています。その後、2010年に全米小売業協会の標準団体「ARTS」や米国の大手百貨店メーカーが発表したことで、徐々に認知されるようになりました。また、2011年ころからは学術的な定義が行われ、実業の世界に広まっていったようです。

日本ではEC業界がオムニチャネル戦略を推奨し、ECサイトとリアル店舗を併用するアパレルやコスメ業界が導入を開始しました。その後は、業界業種を問わず、汎用的な販売戦略として活用されています。

2. なぜオムニチャネルが用いられるのか

インターネット普及イメージ

オムニチャネルがここまで広まった理由としては、次の3つが挙げられるでしょう。

モバイルデバイスとインターネットの普及

総務省が公表している「令和2年 情報通信白書」によれば、日本におけるモバイルデバイスの保有率は2019年時点で96.1%※1となっています。また、インターネット普及率は同じく2019年ベースで89.8%※2です。つまり、ほぼすべての世帯が何らかのモバイルデバイスを保有し、インターネットに接続していると想定されます。

これは、意思決定に至る検討プロセスの大半を「顧客自らが、掌の上で行えるようになった」ことを意味します。顧客は興味関心・情報収集・比較検討・購入決定という検討プロセスを進める中で、複数のチャネルを自在に移動しているのです。例えば、公式サイトの情報をもとにECサイトをめぐり、リアル店舗で現物を確認し、DMやSNSでキャンペーンを待つ……といった具合にチャネル間を常に移動しながら意思決定を行っています。

このように動きの激しい顧客の心をつかむためには、複数のチャネルから良質かつ均一なアプローチを続けていく必要があり、オムニチャネルの活用が望まれる要因のひとつになっています。

参考:
※1 総務省 令和2年情報通信白書 情報通信機器の保有状況
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252110.html

※2 総務省 令和2年情報通信白書 インターネットの利用状況
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r02/html/nd252120.html

カスタマーサクセスの台頭

近年、日本でも「カスタマーサクセス」の概念が徐々に広まってきました。カスタマーサクセスとは、端的に言えば「プロダクトができることと、顧客ができることのギャップを埋め、顧客の成功をサポートする」という考え方です。もう少し簡単に「顧客の成功をゴールとしたアプローチ」と言い換えても良いでしょう。

カスタマーサクセスが台頭してきた背景には、消費トレンドの変化があります。いわゆる「モノ消費」から「コト消費」への移行です。また、最近では世界観やコンセプトへの共感を意味する「イミ消費」も注目されています。こうした新しい消費トレンドは、カスタマーサクセスと親和性が高い考え方です。カスタマーサクセスでは顧客の成功(=顧客体験や満足度の向上)のために、さまざまな施策を打ち出します。オムニチャネルは、複数の顧客接点から価値を提供できるため、カスタマーサクセスとは相性が良い戦略です。

さらに、カスタマーサクセスでは「いかに早く顧客に価値を届けられるかを意識し、Time of Value(時間的価値)を最大化する」ことをミッションとしています。オムニチャネル化では、リアル店舗・ECサイト・SNS・アプリなど「顧客が最も手を伸ばしやすい場所」をいくつも設置します。そのため、カスタマーサクセスがミッションとする「時間的価値の最大化」を実現しやすいというメリットがあるわけです。

オンラインシフト

オンラインシフトイメージ

前述したようにモバイルデバイスとインターネットの普及が進むことで、オンライン上での消費行動が増えています。また、コロナ禍における感染リスク回避のために、生活必需品もECサイトで購入する人々が増えました。これまでは、娯楽・エンターテイメントなど特定の分野のみECを活用していた層が、オンライン上で消費を行うようになったわけです。

このように「オンライン・オフラインを問わない消費行動」をうまく売上につなげるため、オムニチャネルが注目されています。

3. オムニチャネル・O2O・OMOなどの違い

C業界ではオムニチャネル以外にもさまざまな戦略・ビジネスモデルが存在しており、それぞれ異なった特徴を持っています。企業は複数の戦略・ビジネスモデルの中から自社にマッチするものを選定し、適用していく必要があります。そこで、それぞれの特徴と違いを明確にしておきましょう。

オムニチャネルとマルチチャネル・クロスチャネルの違い

オムニチャネルと混同されがちな言葉に「マルチチャネル」や「クロスチャネル」があります。いずれも複数のチャネルを用いるという点では同じですが、目的・目線・チャネル統合の程度に大きな違いがあります。

●マルチチャネル
・目的…顧客接点を複数持つことで最終的な売上の増大を目指す
・視点…企業視点
・顧客接点の統合…チャネルは完全に独立

●クロスチャネル
・目的…複数チャネルの顧客データ、在庫データを連携し販売活動を最適化する
・視点…企業視点
・顧客接点の統合…原則としてチャネルは独立しているが、一部統合される

●オムニチャネル
・目的…チャネルごとにアプローチを続けることで、顧客体験の向上とチャネル間のシナジーを促す
・視点…顧客視点
・顧客接点の統合…非常に高い、もしくは完全統合

O2Oとの違い

O2Oも、近年のEC業界において大きなトレンドのひとつです。オムニチャネルもO2Oも「オンラインとオフラインを併用する」という点では非常によく似ています。ただし、O2Oは「オンラインからオフラインへの誘導」を旨とする施策です。これに対しオムニチャネルは、特定のチャネルへの誘導を目的としていません。オムニチャネルはあくまでも「チャネル間を移動する顧客の体験を向上させる」ことが目的です。

OMOとの違い

OMOは「デジタルデータをもとにしたオンラインとオフラインの融合」を目的とする施策です。また、顧客体験を中心としたチャネル設計も特徴のひとつです。オムニチャネルとは「デジタルデータの活用」「顧客目線」という共通点があります。ただし、オムニチャネルは「チャネルの統合とシナジー発生」が主軸であり、オンライン・オフラインの融合が要諦ではありません。この点が2者の大きな違いです。

4. オムニチャネルのメリットと具体例

では、オムニチャネルのメリットについて、具体例を交えながら紹介していきます。
以下は、一般的なオムニチャネルのメリットです。

オムニチャネルのメリット

オムニチャネルメリットイメージ

・顧客体験の向上
・ファン層、リピーターの獲得
・販売機会、商機逸失の防止

こうしたオムニチャネルのメリットは、さまざまな顧客体験を通じて発生します。
そこで顧客体験の具体例を整理してみましょう。

オムニチャネルで創出可能な顧客体験

●在庫取り寄せの容易化、迅速化
企業Xがある顧客から注文を受けたとしましょう。担当者が在庫を確認すると、店舗Aには在庫がありませんでした。そこでチャネル統合により在庫データが一元化されている店舗Bや店舗Cの在庫を確認し、取り寄せて提供します。また、いずれのリアル店舗にも在庫が無い場合は、EC上の在庫を顧客宅へ配送します。

このように、オムニチャネル化によって顧客の待ち時間を短くでき「欲しいものがすぐ入手できる」という顧客体験が成立します。

こうした顧客体験の提供には、在庫一元管理 と 在庫移動を効率化する仕組みが必要です。具体的には、「基幹システム」 や「店舗間のコミュニケーションツール」などが該当するでしょう。

●スムーズかつシームレスな商品受け取り
オムニチャネル化で在庫管理と在庫移動が効率化されれば、顧客が訪れた店舗に在庫がない場合でも、他店舗で受け取ることが可能です。このように購入・受け取りの店舗を限定しないことで「受け取りの手間を考えると買うのが面倒だ」といった「購入前の心理的ハードル」を取り除くことができます。

この場合も「基幹システム」 や「店舗間のコミュニケーションツール」による在庫一元管理と、他店の取り置き指示を効率化する仕組みが効果的です。

●オンライン・オフライン双方のお得感
オムニチャネル化では、「EC」と「リアル店舗」で共通のポイント制度を敷くことも可能です。オンラインとオフラインの消費行動が、相互にお得感を創出することから顧客体験が向上します。ポイント制度の構築には、顧客データ統合やポイント統合を実現するICT基盤の整備が不可欠です。

●均一化された顧客対応による安心感
オムニチャネルは、すべてのチャネルにおいて、高品質な対応を目指す施策でもあります。これにより、顧客はサービスや品質に対する安心感を深め、得意客(リピーター)へと成長していくからです。こうした顧客体験の創出には、顧客データや接客履歴(応対履歴)を統合管理する仕組みが必要です。

5. オムニチャネル構築に必要なシステム

ECシステムイメージ

最後に、オムニチャネル化に必要なシステムを紹介します。オムニチャネル化では、基幹システム・EC・顧客管理・POSをシームレスにつなぎ、在庫統合や顧客統合を実現する仕組みが必要です。具体的には、次のようなシステムが有用だと考えられます。

ECシステム(ECフロントシステム)

ECフロント構築・商品管理・在庫管理・コンテンツ管理・注文管理・クーポンやキャンペーン管理など、ECの基本機能を備えたシステムです。ECシステムは、大手ベンダーのパッケージサービスを採用することで、開発効率を格段に向上させられます。

ECシステム(バックオフィスシステム)

前述のECフロントシステムと連動し、主にバックオフィス業務を効率化・自動化するシステムです。受注管理や在庫管理・ピッキングリスト・配送管理・入金管理などEC運営における「モノ・カネ・情報の移動」を効率化します。「柔軟な商品受け取り」「迅速な取り寄せ」を支えるシステムであり、オムニチャネル化では最も重視すべきものです。

バックオフィスシステムを選定する際は、「日本の商慣習に対応していること」も注視していきましょう。「注文の一部キャンセル・返品」や「サイズ・カラーの途中変更」「分割配送」「同梱管理」などに対応していれば、比較的スムーズにオムニチャネル化が進みます。

基幹システム

EC運営企業の経営資源を一元管理するシステムです。ECシステムと連携しつつ、在庫統合・購買管理・販売管理などを担います。専門店向け・アパレル向けなど、特定の業種向けの基幹システムを採用することでスムーズに日本の商習慣とマッチさせることができます。

POSシステム

リアル店舗での売上情報を集計・分析するためのシステムです。オムニチャネル化ではチャネル間で売上データや商品データの統合を行うため、POSシステムも連携対象のひとつになります。

ポイント管理システム

ポイントシステム構築・運用に必要な「顧客データ管理」や「購入履歴管理」「ポイント発行」などを管理するシステムです。オムニチャネル化を想定する場合は、POSやECシステムなど外部システムとの連携機能を持つものが適しています。

CRM

顧客情報の一元化や顧客分析を担うシステムです。顧客データを管理するとともに、過去の購入履歴からニーズを把握したり、キャンペーン作成のヒントを作成したりと、マーケティング施策の立案に役立てることができます。

MA

顧客に対してOneToOneマーケティングを実施するために必要なシステムです。One to Oneマーケティングは、顧客体験の向上に大きく貢献する施策であることから、積極的に活用しましょう。

モバイルアプリ

モバイルアプリは「ECサイトで見つけ、リアル店舗で探し、購入する」といったチャネルを横断した消費行動を喚起できるツールです。また、キャンペーン立案や製品開発のための情報収集ツールとしても適しています。

6. まとめ

システム提供イメージ

この記事では、オムニチャネルの概要や特徴、メリット、必要なシステムなどを解説してきました。ニーズや検討プロセスの多様化で、「いつ、どこからでも安定して製品を購入できる仕組み」が求められています。EC強化を目的としたシステム選定では「オムニチャネルを構築可能か」を基準のひとつとしてみてはいかがでしょうか。

また、VINXはオムニチャネル構築サービスを提供しています。
どのようなご相談でも結構ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。